遺体搬送の料金相場は?病院から自宅・安置施設までの流れと注意点
病院や施設で家族が亡くなると、早い段階で必要になるのが故人の搬送です。
しかし突然のことで、「どこへ運べばいい?」「いくらかかる?」「病院から紹介された葬儀社に頼まないといけない?」と迷うのも無理はありません。
遺体搬送の料金は全国一律ではなく、搬送距離や時間帯、待機時間、搬送時に必要な人員などによって変わるため、依頼前に総額と追加料金の条件を確認することが大切です。
有償で遺体搬送を行う事業者には、貨物自動車運送事業の許可が必要です。
一方で、搬送を依頼した葬儀社へ、そのまま葬儀まで依頼しなければならないわけではありません。
この記事では、病院などから自宅・安置施設へ故人を搬送するときの料金、流れ、依頼先、安置場所について順番に解説します。
【この記事でわかること】
- 遺体搬送の料金:費用が変わる主な条件と、依頼前に確認したい追加料金
- 搬送の流れ:死亡診断書等の受け取りから安置完了までの手順
- 依頼先と安置場所:葬儀社・搬送事業者へ依頼するときの確認事項と、自宅・施設安置の違い
遺体搬送の料金は距離や時間帯などで変わる
遺体搬送に全国一律の料金はなく、距離や時間帯、待機、追加人員などの条件によって最終的な支払額が変わります。
遺体搬送の料金を見るときに注意したいのは、「10kmなら必ず○円」といった全国共通の価格があるわけではないことです。
事業者によって料金体系やプランに含まれる内容が異なるため、基本料金だけでは最終的な費用を判断できません。
主に確認したいのは次の項目です。
| 確認項目 | 確認する理由 |
|---|---|
| 搬送距離 | 一定距離まで基本料金に含み、超過すると加算される料金体系があります。 |
| 深夜・早朝 | 時間帯によって追加料金が設定されている事業者があります。 |
| 待機時間 | 病院での手続きや家族の到着待ちなどで長時間待機すると料金が加算される場合があります。 |
| 追加スタッフ | 階段や狭い搬入口など、複数人での対応が必要な場合は追加費用が発生することがあります。 |
| 高速道路・有料道路 | 利用した場合に実費が別途必要となることがあります。 |
| 搬送後の安置 | 搬送料とは別に安置施設料やドライアイス代が必要になる場合があります。 |
「搬送○kmまで込み」の距離を確認する
葬儀社のプランでは、「搬送10kmまで」「搬送20kmまで」など一定距離を料金に含めている場合があります。
この数字は、すべての事業者に共通する法律上の基準ではありません。
そのため、
「どこからどこまでを計算するのか」
「何kmまで基本料金に含まれるのか」
「超過した場合はいくら追加されるのか」
を確認しましょう。
同じ「搬送10km込み」でも、実際の計算方法が違えば支払額も変わります。
深夜・早朝料金がかかるか確認する
亡くなる時間は選べないため、深夜や早朝に搬送が必要になることもあります。
事業者によっては、夜間・早朝の搬送に追加料金を設定しています。
ただし、「22時以降なら全国一律で○%増」と決めつけるのではなく、依頼する事業者の料金表で確認してください。
電話するときは、
「今の時間に病院から○○まで搬送すると、追加料金を含めて概算でいくらですか?」
と聞いておくと分かりやすいでしょう。
搬送料以外に発生する費用も確認する
遺体搬送を依頼すると、搬送車両の料金以外にも費用が発生する場合があります。
たとえば、
- 安置施設利用料
- ドライアイス
- 防水シーツなどの搬送用品
- 追加スタッフ
- 待機料金
- 高速道路・有料道路料金
などです。
「搬送料はいくらですか?」だけではなく、「安置先へ到着するまでに必要な総額はいくらですか?」と確認するのがポイントです。
【搬送を依頼するときに確認したい3点】
- 1. 基本料金に含まれる搬送距離
- 2. 深夜・待機・追加人員などの追加料金
- 3. 安置施設料やドライアイスまで含めた概算総額
遠方・県外や海外から搬送する場合
県外への長距離搬送や海外からの搬送では、一般的な近距離搬送とは手続きや交通手段が異なります。詳しくはこちらの記事で解説しています。
病院から安置場所まで遺体を搬送する流れ
病院などで亡くなった後は、書類を受け取り、安置先を決めてから搬送事業者へ連絡する流れで進めます。
突然のことで混乱している場合は、一度に葬儀全体を決めようとする必要はありません。
まずは故人をどこへ安置するかを決め、そこまでの搬送を手配します。
1:死亡診断書または死体検案書を受け取る
病院で亡くなった場合は、通常、医師から死亡診断書が交付されます。
亡くなった状況によっては検案が行われ、死体検案書が交付されることもあります。
死亡診断書・死体検案書は、その後の死亡届や火葬の手続きで必要となる重要な書類です。
提出する前に、必要に応じてコピーや写真を残しておくと、その後の手続きで内容を確認しやすくなります。
2:故人をどこへ安置するか決める
次に搬送先を決めます。
主な選択肢は、
- 自宅
- 葬儀社・斎場の安置施設
- 民間の安置施設
などです。
自宅へ戻したい場合は、玄関、廊下、階段、エレベーターなどを通って安全に搬入できるかを確認しておきます。
自宅での安置が難しければ、葬儀社などが管理する安置施設を利用する方法があります。
3:葬儀社や遺体搬送事業者へ連絡する
安置先が決まったら、搬送を依頼します。
連絡するときは、
- 故人がいる病院・施設名
- 搬送先
- 連絡者の氏名・電話番号
- 希望する時間
- 自宅の場合は階段・エレベーターなどの搬入状況
を伝えると話がスムーズです。
この段階で概算料金も確認しておきましょう。
4:寝台車などで搬送する
搬送車が到着すると、スタッフが故人を病院などから車両へ移し、指定した安置場所へ搬送します。
家族の同乗可否は車両や事業者によって異なるため、同乗を希望する場合は事前に確認してください。
5:安置後に葬儀の打ち合わせを行う
故人の安置が済んだ後、葬儀の日程や形式、式場、費用などを決めていきます。
搬送の依頼と葬儀の契約は分けて考えることができます。
慌てているからといって、搬送の時点ですべての葬儀内容を決める必要はありません。
死亡直後からの全体の流れを確認したい方へ
死亡診断書、安置、搬送、葬儀社との打ち合わせまで、亡くなった直後にやることはこちらの記事で時系列に整理しています。
遺体搬送を依頼する事業者は許可や料金を確認する
有償で遺体を搬送する事業者へ依頼するときは、必要な許可を受けているかと料金の説明が明確かを確認します。
遺体を料金を受け取って搬送する事業は、貨物自動車運送事業の規制対象です。
国土交通省では、霊柩車を一般貨物自動車運送事業の許可を受けた事業者などが使用する車両として扱っています。
有償の遺体搬送では事業用車両か確認する
葬儀社や遺体搬送会社へ料金を支払って搬送してもらう場合は、適法に事業を行っている会社かを確認することが大切です。
事業用車両であることを確認する一つの目安が、緑色のナンバープレートです。
ただし、ナンバーの色だけでサービス品質や料金の妥当性まで判断できるわけではありません。
料金説明、会社情報、対応内容もあわせて確認しましょう。
料金を書面やメールなどで確認できると安心
突然のことで電話だけで依頼するケースもありますが、可能であれば、
- 基本料金
- 搬送距離
- 距離超過料金
- 夜間・早朝料金
- 待機料金
- 追加人員
- 安置費用
などを確認します。
金額を口頭だけで聞いた場合は、担当者名と説明された内容をメモしておくのも一つの方法です。
国民生活センターにも、葬儀について料金やサービス内容の説明が十分でなかった、高額な請求を受けたといった相談が寄せられています。
病院から紹介された葬儀社に必ず依頼する必要はない
病院から搬送先の葬儀社を紹介される場合があります。
すぐに搬送を手配できるため助かるケースもありますが、紹介された葬儀社へ葬儀そのものまで依頼しなければならないわけではありません。
すでに希望する葬儀社がある場合は、
「家族で依頼する葬儀社を決めています」
と伝えて構いません。
まだ葬儀社を決めていない場合も、搬送費や安置条件を確認してから判断しましょう。
自家用車で家族の遺体を搬送することは一律に違法ではない
家族が自家用車で無償搬送すること自体は一律に禁止されていませんが、実務上は専門事業者への依頼が一般的です。
「白ナンバーで遺体を運ぶことはすべて違法」と思われることがありますが、注意が必要です。
問題となるのは、事業者が必要な許可を受けずに料金を取って貨物を運送するケースです。
家族自身が自家用車で故人を無償で搬送することまで、一律に禁止されているわけではありません。
ただし、実際には、
- 故人を安定して寝かせられるスペース
- 体液漏れなどへの対策
- 車内で安全に固定する方法
- 搬入・搬出時の人手
- 亡くなった原因によって必要となる衛生上の配慮
などを考える必要があります。
精神的な負担も大きいため、特別な事情がなければ、適切な設備と経験のある葬儀社や搬送事業者へ依頼する方が現実的です。
搬送先となる安置場所は自宅と施設から選ぶ
安置場所は自宅だけでなく葬儀社などの施設も選べるため、住宅環境や面会条件、費用を比べて決めます。
法律上、原則として死亡後24時間を経過するまでは火葬できません。
また、実際の火葬日は火葬場の空き状況などによって数日後になることもあります。
その間、故人を安置します。
| 安置場所 | 主な特徴 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 自宅 | 家族でそばにいられる時間を取りやすい | 搬入経路、室温管理、安置スペース |
| 葬儀社・斎場 | 安置から葬儀の打ち合わせまで進めやすい | 1日あたりの料金、面会時間、付き添い可否 |
| 民間安置施設 | 葬儀社が未定でも利用できる施設があります | 料金、面会条件、受け入れ可能時間 |
自宅へ安置する場合
住み慣れた自宅で、家族がそばにいながらお別れの時間を過ごせることがメリットです。
一方で、集合住宅ではストレッチャーや担架がエレベーターや廊下を通れるか確認する必要があります。
自宅安置を希望する場合は、搬送会社へ住宅の状況を伝えて相談してください。
葬儀社などの安置施設を利用する場合
自宅へ連れて帰ることが難しい場合は、葬儀社や斎場の安置施設を利用できます。
注意したいのが、
「安置できる」ことと「いつでも面会できる」ことは別
という点です。
面会時間や付き添い、宿泊の可否は施設ごとに違うため、搬送前に確認しましょう。
安置日数が延びた場合の追加料金を確認する
火葬場の予約状況などによって火葬までの日数が延びると、
– 安置施設利用料
– ドライアイス等の保冷費用
が追加される場合があります。
葬儀プランに「安置○日分込み」と記載されている場合は、それを超えたときの1日あたりの料金まで確認しておくと安心です。
遠方へ遺体搬送するときは交通手段と総額を確認する
県外などへの長距離搬送では、寝台車だけでなく空路なども含め、時間と費用を比較して方法を決めます。
旅行先や単身赴任先などで亡くなり、自宅のある都道府県まで搬送したいケースもあります。
長距離になるほど、
– 距離による運賃
– 高速道路料金
– ドライアイス等
– 追加スタッフ
– 長時間運行に伴う費用
などが増える可能性があります。
距離によっては飛行機を利用した搬送が選択肢になる場合もあります。
まとめ:搬送距離・追加料金・安置条件を確認して依頼する
遺体搬送では基本料金だけで判断せず、安置先までに必要となる総額と追加料金の条件を確認してから依頼しましょう。
家族が亡くなった直後は、短い時間の中で搬送先を決めなければならないことがあります。
しかし、葬儀の内容まですべてその場で決める必要はありません。
まずは、
- 死亡診断書等を受け取る
- 自宅・施設など安置先を決める
- 搬送距離と追加料金を確認する
- 搬送を依頼する
- 安置後に葬儀について打ち合わせる
という順番で進めると整理しやすくなります。
搬送を依頼する前に、距離だけでなく、夜間料金、待機料金、追加人員、安置料なども確認してください。
「安いと思って依頼したのに、搬送後に想定外の費用が増えた」という事態を防ぐためにも、総額で確認することが大切です。
遺体搬送に関するよくある質問(FAQ)
遺体搬送だけの依頼や深夜対応、自家用車での搬送など、判断に迷いやすいポイントを確認しておきましょう。
病院から葬儀社や搬送先を紹介されても、その会社に必ず依頼しなければならないわけではありません。すでに希望する葬儀社がある場合は、家族で手配する旨を伝えましょう。
搬送と葬儀は分けて考えることができます。ただし、安置施設によっては利用条件があるため、搬送だけを依頼する場合は、搬送先の受け入れ条件や安置料金も確認してください。
24時間対応している葬儀社・搬送事業者があります。ただし、夜間・早朝に追加料金が発生するか、到着までどの程度かかるかは事業者や地域によって異なるため、電話で確認してください。
家族が自家用車を使って無償で故人を搬送すること自体を一律に禁止する法律はありません。ただし、故人の状態保全、安全な固定、搬入・搬出など専門的な対応が必要になるため、一般的には葬儀社や遺体搬送事業者への依頼が安心です。
「病院から安置先までの概算総額」「基本料金に含まれる距離」「距離超過料金」「夜間料金」「待機料金」「安置料」「ドライアイスなどの追加費用」を確認すると比較しやすくなります。
【参考情報】
- 貨物自動車運送事業・霊柩車に関する情報 – 国土交通省(https://www.mlit.go.jp/)
- 死亡診断書(死体検案書)について – 厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/)
- 墓・葬儀サービスに関する消費生活相談 – 国民生活センター(https://www.kokusen.go.jp/)
